みんな大好き経営理念、と戦略の関係

 中小企業の経営者の方々は、皆様、経営理念が大好きだと感じています。経営理念は、従業員に共有されるべき共通の信念や価値観、社会的な責任のようなものです。これを定めておくことは会社の目指すべき方向性が明確になり、非常に有用です。

 しかし、実は今、私自身は経営理念を作れずにいます。経営理念は、時代の流れを超えて通用するものでなければならない、私が引退した後も、通用するものでなければならない、という私にとって非常に重たいものだと思っているからです。

 経営理念と戦略を繋ぐ概念にビジョンというものがあります。ビジョンとは、ある時点、例えば10年後にはこうなっていたいという到達点のことです。まずは、経営理念を受けてビジョンを決定します。そして、このビジョンを実現するための道筋や手段が、「戦略」です。

 私にも、ビジョンのようなものはありますが、それは経営理念から導き出されたものかというと、そうではなく、なんとなく決めたものです。

 スタートアップ企業(主にIT企業で、事業開始したばかりの企業)は、よくピボットということをします。今まで信じていた役に立つと信じ、開発を進めてきたサービスが、実は世の中に求められていないとわかったとき、大胆に、方向性を変える舵取りをして、世の中に求められる全く異なるサービスの開発に移行します。

 したがって、少なくとも事業開始して10年近く経過し、確固たる事業領域がある企業にとっては、経営理念やビジョンや戦略は非常に強力に作用するでしょう。ただ、創業間もない企業にとっては、経営理念やビジョンや戦略は、実は関係のないものであり、競争環境にあわせた柔軟な変化の繰り返しが、スピード重視の近年の状況をかんがみると、重要なのではないかというのが私見です。

 他方、事業領域が決まっており、ある程度完成された企業においては、戦略を変化させることで競争環境に適応していくことになります。